045793 ランダム
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私のあやまち


ぁん・・・・・んあっ・・・・・ぁっ・・・・・



彼氏とそんなことをやってから、もう3ヶ月・・・
いまだにアレがこない・・・・・

いくら頼まれたからって、ゴムなしでやってしまったなんて・・・・・
今さらにだけど、とても後悔している。


親父にはさすがに話せないから、母さんに話そう・・・

「あのね母さん・・・・・」
「どうしたの?」
「実は・・・その・・・・・」
「何?」
「・・・・・・アレがこないの」
「えっ?」
「だから、その・・・彼氏と・・・・・」
「・・・・・セックス・・・したの?」
「・・・・・・・そう」


母さんはきっと一生のうちで一番驚いたと思う。
自分の子供がまだ高校生なのに妊娠したかも知れないなんて・・・・・


そのあとすぐに母さんと一緒に産婦人科に行った。

私のお腹の中には新しい命が芽生えていた・・・。

そのことを知ってから、私と母さんはお互い何も話さないでいた。


家に帰ってからは私はずっと自分の部屋にこもっていた・・・。
そして一晩中考えた。

彼氏にはメールでそのことを伝えたけど、返信が来なかった。
電話もかけてみたけど、やっぱり出なかった。



「母さん・・・・・昨日のことなんだけど・・・・・」
「そこに座りなさい・・・・・」

母さんはいつもと態度が違った・・・。
そりゃ、そうだよね・・・・・私に子供ができたんだもん・・・・・

私は言われたとおりに座り、一息ついてから一気に話した。
「私おろしたい!だって、まだ高校生なんだもん!!」

パーン!

私の頬がじーんと痛む。
母さんは私をおもいっきり叩いた。目から涙を流しながら・・・。
そして、母さんは自分の部屋に閉じこもってしまった。


私は小さいころから、親父に怒られてばかりで、
母さんに怒られたことなんてなかった・・・。
いつも母さんは優しくしてくれたのに、叩いてきて正直驚いた・・・。


私はしばらくその場で泣いていた。
悲しいわけでも、痛いわけでもないのに泣いていた・・・。
自分のあやまちのせいか、母さんに叩かれたせいか、それは私にもよくわからない。


気がつくとそこには親父がいた。
親父は黙って私の横に座った。
親父はしばらく黙っていた・・・。

「馬鹿でしょ?あきれてるでしょ?」
私がそう言っても親父は何も言わなかった。
「・・・・・怒ってよ・・・いつもみたいに怒ってよ!」
それでも親父は黙っていた。
「そうだよね・・・、こんな馬鹿怒ってもしかたないよね・・・」

少し経ってから、親父はやっと口を開いた。
「母さんとお前がどうして50歳近く年が離れているかわかるか?」

唐突な質問だった。
私は親父がこんなときにどうしてそんな話をするのか分からなかった。

「・・・・・子供ができなかったからだ」

親父の話では、長い間子供ができないでいて、
やっとできた一人目は流産だったそうだ・・・。
つまり私は2番目の子供だった。

「そんなこと知らなかった・・・。」
「母さんは思い出すだけでも、辛いんだ。
 長い間まって、やっと芽生えた新しい命がすぐになんて・・・・・・。
 しかも、母さんは今でも自分のせいだと思っている。」
「私・・・母さんにとってとても酷いことを口にしちゃった・・・・・。
 だから母さんきっと傷ついちゃった・・・・・」
「でも、半分は違うな・・・・・」

親父はまた話してくれた。
昨日私が産婦人科に行って、
妊娠がわかって母さんがやっぱりショックを受けてたこと。
私が悩んでるのに気づいてあげられなくて、さらにショックを受けていたこと。
私の判断にすべてを任せたいと言っていたこと・・・。

「母さんが叩いたのはきっと、反射的のものもあると思う・・・。」
「私どうしたらいいの?」
「自分で行ったことは自分で決着をつけろ。
 ただ一つ言うならば、命を軽く見るな。」

私は言葉に詰まった・・・。

「お前はそれでいいかもしれないが、お前の行ったことでできた命はどうなる?
 それでは自分勝手過ぎないか?そこを良く考えてみろよ・・・」

そう言って、親父は自分の部屋に戻って行った。

「お前の行ったことは、自分で決着をつけろ。」

戻る途中にもう一度そう言って・・・・・



次の日、私はある決意を固めて、母さんに話した。

「私・・・・・やっぱり、おろしたい!」
母さんはなにも言わなかった。
「私、命をすごく軽く見てた・・・。昨日親父に言われてわかった・・・。
 でも、やっぱり産むっていうのはどうしても考えられないの・・・・・
 命を軽く見てるわけじゃないんだけど・・・・・本当にごめんなさい!」
母さんは近くに来て、こう言ってくれた。
「自分で一生懸命考えて決めたんでしょ?なら、どうして謝るの?」
私の目からは涙が溢れ出てきた。
「本当に・・・・・ごめんな・・・さい・・・・」
「あなたも悩んだのよね?命の重さを分かってくれればそれでいいわ。」
「・・・・・母さん」



私はあやまちを犯した。
「避妊をしなかった」ということではなく、
「命の重さを軽く見ていた」というあやまちを・・・。

「避妊をしなかった」のがあやまちではないということではないけど、
「命を軽く見ていた」のほうがよっぽどあやまちだ・・・・・


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